横須賀市長挨拶(平成9年8月市報にて)

変革こそ進歩

新しい任期の出発に当たって

市長 沢田秀男

 私は、多くの市民のご支持を得て 去る六月二十九日の横須賀市長選挙 で再選されました。大変光栄なこと であるとともに、責任の重さに身の 引き締まる思いがいいたします。  四年前、市長に就任してから今日 まで、私は横須賀を「活力とうるお いと生きがいのある都市」にするた め懸命の努力をしてまいりました。  〃挑戦・変革・創造〃をモットーと して果敢に市政の刷新と多くの懸案 事項の簡決に取り組んできました。  行政の文化化、行政改革、情報公 開、行政手続条例、審議会等の公開 と委員の公募、横須賀中央駅前の顔 づくり、 JR横須賀駅周辺再整備、 横須賀リサーチバーワの整備と成長 企業の誘致、三浦縦貫道路の建設、 米軍墓地ごみ処理の有料化、長井米 軍住宅跡地の市民的利用などです。

個性豊かで柔軟な行政体質に

 最近、多くの人から「横須賀 が変わり⊃⊃ある」「横須賀が 動き出した」と言われます。他 の都市からも「横須賀から目が 離せない」と注白されています。 これは本市の都市つくりが客観 的に評価を獲得しつつあること を示すものだと思います。  新しい任期においても、本市 は多くの課題を抱えています。 これからも変革志向型の発想と 行動で個性ある都市づくりに努 力していく所存です。  まず第一に、「知恵の時代」 といわれる今日、差異化戦略に 基づくソフト重視の立場で質の 高い独創的な施策を構築してい くことが必要だと考えます。  基本構想に基づき「国際海の 手文化都市」の実現を目指す都 市づくりの具体的戦略を明らか にする基本計画はこのような立 場で策定してまいります。  第二に、未曾有の財政危機の 打開と行政改革を引き続き実施 します。難題が山積みの本市 の行政を円滑に推進するため には、抜本的な行財政改革を 進め、行政を効率化し財政の 硬直性を打開しなければなり ません。それによって社会情 勢の変化や制度の変革などで 行政に求められるものがどの ように変化しても、対応でき る柔軟な行財政の体質に改善 していく必要があります。

だれもが交流できる都市に

 第三に、少子高齢社会に対 応するための保健、福祉、医 療などの施策を充実し、総合 的に体系づけて実施すること であります。  公的介護保険の導入、医療 保険制度の抜本的改正など先 行き不透明な要素が多いこの 分野で、行政を含め、広く社 会的支援システムを確立し、 高齢者、障害者、子ども立ち が安心して暮らせる環境づく りに努めることが必要です。  第四に、二十一世紀は「大 交流の時代」といわれる中で 交流人ロの増加を図り、雇用 の増大を誘発し、地域の活性 化を実現するための施策を展 開していきます。  そのためには、海と緑の自 然や歴史などの「交流資源」 を活用し、道路、港湾などの 「交流基盤」を整備し、教育、 研究、文化、生涯学習、観光、 レクリエーションなどに係る 「交流拠点」を充実することに より「交流する魅力のある都 市」としての実質を備えてい くことが必要だと思います。

真の地方自治の確立を

 第五に、地方分権と住民自 治の確立への努力です。  地方分権は時代の要請であ り、政府においてその方向へ の検討がされています。私も 全国市長会などを通じて真の 分権の実現へ向けて努力して まいります。重要なのは「分 権・参加・自台」の確立です。 分権によって「団体自治」を 拡充し、参加によって「住民自 治」を充実し、それらによっ て真の地方自治を確立するこ とが可能であると考えます。  そのためには、私たちとし ても分権の受け入れ体制を整 えるとともに、一層の政策形 成に努めていかなければなら ないと存じます。  これからも、一期目の情熱 と成果の上に立ち、「変革こそ 進歩」をモットーとして意欲 的に市政の充実に取り組んで まいります。さらに、二十一 世紀における横須賀の飛躍的 な発展につながるプロジェク ト〔首都圏新空港、東京湾口道 路、超高速貨物船基地、三浦 半島国営公園など〕の実現へ 向けて努力してまいります。 「住んで誇りに思うまち」そ れが究極の目標です。その実 現を目指し、市民本位の市政 を進めていく決意であります。